求人倍率マジックにダマされるな!

第1章では、就活協定や求人倍率のからくりを明らかにするなど、就活にあたってまず前提となる知識と、就活に臨む前におさえておきたいポイントを解説します。
働き方改革による新しい勤務形態や、グローバリゼーションによる企業の国際化は、個人との相性によって良くも悪くも作用することに注意を。惑わされず「自分に合っているか」で判断すべきです。

政府の発表によれば、現在の求人倍率は1.2~1.3倍の高水準になっています。(大学新卒者の求人倍率は約1.9倍?)
さらに、少子高齢化の影響で学生の数が減少している。ということは、ライバルが少なくてすむ!?
まさにメディアなどが騒ぐ「売り手市場」にも見えてきます。
となれば、冷たくて分厚い氷も徐々に溶け、今や学生たちには暖かな春の到来か、と思いきや、とてもとてもそんなよい話ではありません。

皆が行きたい大企業の就職のワクに入れるのは、学生全体のせいぜい1割程度。その人気のワクに多くの学生が殺到し、熾烈な争いを繰り広げることに。
そして、ワクからあぶれてしまった9割の学生たちは、次から次へと企業の間を奔走することになるのです。
こんなに駆け回り、苦しみ悩みながら手に入れた就職を、あっさりと手離してしまう人たちが跡を絶たないという現実もあります。大学新卒3年以内の離職率は、今や、何と30%以上!「新卒採用しても、すぐにやめてしまう」という企業の嘆きを、よく耳にします。

就活を取り巻く状況① 家族の軋轢

親の価値観VS子どもの価値観
「せめてこのくらいの企業に入ってもらわないと……」と名の挙がるところは、誰でも知っている有名企業や大きな銀行ばかり。そのプレッシャーたるや半端ないことでしょう。
それでも、難なくその要求に応えられるような子どもなら問題はありません。親の意思だから「まあ悪いことにはならないだろう」と、素直にレールに乗ってしまうのもよし。
それは、大きな企業に入って頑張り、徐々に出世しながら定年まで勤め上げる……親の世代の多くが求める〝安定〟のモデルケースです。
ただ、価値観も働き方も多様化している現代、そんな人生を望む人が必ずしも主流派ではなくなってきています。親の望む〝いい子〟に育った子も、いつからか自我が出て親に反発を感じたり、親の思いとはかけ離れた希望を持つようになったりすることも少なくありません。

就活兄貴の非常識な就活